on your special day

雨の音で目が覚めた。

目を開けると白い天井が見える。
まっ白い壁紙のこの部屋はまるで病室みたいだといつも思う。
絵のひとつでも飾ってみようか・・・そんなことを思いながら身を起こす。

・・・・・。

何だったろう。今日は何か。

何か忘れているような気がするが、しかし深く追求することはしない。

どうせ大したことではないのだ。

2学期に入って学園祭の準備で連日忙しかったがそれもようやく終わった。
生徒会の引継ぎも済んだし、あとは受験生らしく勉強していればいい。
小野寺達は学校推薦で決まったと言っていたっけ。
半ば強引に生徒会に引きずり込んでしまったからさすがの俺も多少気になっていた。
あいつらは優秀だと思う。俺なんかより、ずっと。

思考が負の方向へ傾きそうになったことに気付いてぶるっと頭を振った時、メールの着信音が聞こえた。

・・・・・花房だ。

軽薄な文字が躍る中に見えた、「生徒会長!誕生日おめでとう!!!」

ああ、そうか。今日は俺の誕生日だったんだ。
それにしても、一体いつ花房に誕生日など教えたんだろう。あのストーカーめ。

今日が創立記念日でよかった。
花房のことだからあの校舎裏でパーティもどきのことをやりかねない。
あいつの作る弁当は美味いから、バースデイスペシャルメニューを食い損ねたのは少し残念だが。
いや、せっかくの休日を花房に振り回されるのはごめんだ。
自分らしくない、と苦笑いした時2度目の着信音が響いた。

「どうせ部屋に引きこもって昨夜の残りものでも食ってるんだろ?!
今から行くからパーティやろうよ。パースデイスペシャルメニュー期待してて!!」

・・・そうだった。
あいつの場合日時も場所も、ましてや俺の拒絶さえ何のハードルにもなりはしない。
最初から俺には何の選択権も与えられていなかったのだと再び苦笑いがもれる。

「おかげでスペシャルメニューにありつけるわけだ」とひとり語ちながら返信した。

「ついでにケーキも頼む」

そう言えば結構甘いものが好きだということを俺は花房に言ったことがあっただろうか。

そんな記憶はないな、と思っていたら3度目の着信音が鳴った。

END